映画『男はつらいよ』で、甥の満男が寅さんに問いかける。
「人間は、何のために生きているのかな」
それに対して寅さんはこう答える。
「生まれてきてよかったなあって思うことが何べんかあるじゃない。
そのために人間、生きてんじゃないのか」
同じような問いを、もっとシンプルに、しかし鋭く歌っているのが、
朝ドラ「あんぱん」でも注目されているアンパンマンの主題歌の一節である。
※今放送されている第3週は「なんのために生まれて」がテーマですね!
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのいやだ
子ども向けアニメの主題歌とは思えないほど、直球な問いである。
そしてこの問いは、むしろ大人になればなるほど、
ごまかしがきかず、より強く胸に迫ってくる。
「なんのために生きているのか」
あなたはこの問いになんて答えるだろうか?
牧師である私自身も、日によってその答えは揺れ動く。
人のために、とか、神のために、と言葉では言えても、
どこか空回りしてしまうような日もある。
そんな時、寅さんの「生まれてきてよかったなあって思うこと」という言葉は、
とてもリアルで、腑に落ちる答えのように感じられる。
その言葉を思い返していたとき、私にとって教会の母のような存在であった
ノリ子先生の言葉が蘇ってきた。
「信仰をもって生きるのは、楽しいことよ」
青年時代、繰り返し聞いた言葉である。
その背後には、神と共に、そして人と共に生きることの喜びがあったのだと思う。
信仰というと、厳しいもの、正しくあることと受け取られがちだが、
ノリ子先生にとっては、
信仰とは神に与えられたいのちを、人生を喜ぶことそのものなんだと私は思う。
「信仰をもって生きるのは、楽しいこと」――
その言葉は、アンパンマンの「答えられないなんていやだ」にも、
寅さんの「生まれてきてよかったな」にも、どこかつながっているように思う。
「何のために生まれたのか」「何をして生きるのか」
その問いに、完璧な答えを出す必要はないのかもしれない。
けれど、その問いを持ち続けることができる場所、
誰かと一緒に考えられる場所があるということは、
とても大きな恵みである。
だから私は、答えを急ぐのではなく、
問いを祈りながら抱えていられる信仰を、
今日も生きていきたい。
それが、今の私の、小さな答えである。
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