東京4教会合同研修会「壁をつくらない教会へ〜LGBTQ+と教会」
2月11日(土)に東京四教会合同研修がのぞみ教会を会場にして行われた。今回の研修会は「壁をつくらない教会へ〜LGBTQ+と教会〜」をテーマとして、ゲイであることを告白している中村吉基牧師(日本キリスト教団代々木上原教会)を講師としてお招きした。
中村牧師は私の神学校の同級生であり、4年間文字通り机を並べて神学を学んだ友である。また私の人生において初めて同性愛者であることを「カミングアウト」してくれた友人でもある。このように共に教会で働く機会が与えられたことがまず私たちにとって大きな喜びであった。そして、教会に集った30名の参加者が中村牧師の話をうなずきながら、共感と理解をもって聞き入っている姿がとても印象的であった。
教会の中に様々な立場があることは承知している。私たちカンバーランド長老教会の中にも同性愛者の牧師按手、長老按手について教会を分断する議論が特にアメリカにおいて顕著である。社会が同性愛や同性婚に寛容になればなるほど、その反動でキリスト教界は保守化してくように思う。様々な立場があるだろうが、何より同性愛者の当事者であり、按手を受けている牧師である中村牧師の話を聞くことができたのは、私たちにとって時宜にかなったことであった。
同性愛者は当たり前にいる。それは何も特別なことではなく、右利きと左利きの人がいるのと変わらないことだ。そんな当たり前のことを私自身は改めて思った。しかし、問題は教会が実際に存在しているものをいないかのように、また何かその存在を問題であるかのようにしてしまうことにある。
そこには「聖書」をどう読むかという課題があり、教会の難しさはここにある。今回の講演では聖書に記される言葉をどのように解釈するかという点では、一つ一つ取り上げられることはなかったが、少なくても私たちは「聖書にそう書かれいている」というだけで聖書を解釈し読むことはしない者たちだ。「聖書にこう書いている」と私たちは簡単に言いがちだが、私たちはかなり都合よく聖書の言葉を取捨選択していることを自覚しなければならない。
講演では、創世記1章27節にある「神は男と女に創造された」とあるが、現代は「男と女」だけで性は分けられないことが明らかになっている時代であることは指摘された。その通りである。私たちはそのことを受け止めつつなお聖書を捨て去らずに神の言葉として読むのだ。私たちは聖書を字義通り読まなければ神の言葉を聞くことにならないとは考えない。もちろんそのように聖書を読む方々がいることは知っているし、その信仰のありようを尊重することは当然だ。だけども、私たちの聖書の読み方も尊重していただきたい。
講演では多くの映像も紹介されたが、YouTubeでみることができるUnited Church of Christが作ったCMが印象的だった。自分たちと違う人びとを、同性愛者カップルを次々と会堂から排除していく。テロップには「神は人びとを拒絶なさらない。しかし、私たちはしている」と……。だけども、私たちはそういう教会ではありませんとわざわざ宣伝するのだ。現実的に隔ての壁が教会に高くそびえているからこそ、このようなCMをわざわざ作り、アピールしなければならないのだ。
講演の最後に中村牧師が「私たちは自分たちの信仰を守ることはとても大事です。教会の伝統を守ることも大事です。でも他方で社会の現状ということ知らなければ、教会だけ、信徒だけ、牧師だけがよかったのしても、教会と社会が乖離していきます。そういう社会と乖離した教会のことを「カルト」というのです。私たちの教会がカルトとならないためにぜひ身近で起こっていることを知ることだが大切です。今日の研修がそのような機会になったことを感謝します」と語られたことがとても心に残りました。
私たちは自分と違う存在に出会う時に、不安から自らを守る壁を作り、自分たちの城に閉じこもりがちです。教会もそうです。でもイエス様は、壁を作っていた宗教社会からはじき出された人たちと一緒に食事をし、語らい、神の国の到来を教えてくださった方です。いま、イエス様だったら私たちの教会の有り様をどのようにご覧になるでしょう。そのことを思い巡らしつつ、「壁のない教会」をなかなか作り出せない者たちですが、悩みつつ、目指す群れでありたいと思います。
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